教員の給料が「割に合わない」と感じる人が見落としていること
2026/1/30
「教員の給料は、割に合わない」
そう感じている先生は、決して少なくありません。
朝7時に出勤し、夜8時、9時まで働く。休日も部活動や授業準備で潰れる。それなのに、残業代は出ない。民間企業に勤める友人は、自分より働いていないように見えるのに、年収は自分より高い。
「こんなに働いているのに、なぜ自分の給料はこれだけなのか」
この思いが、日に日に強くなっていく。そして、「民間企業に転職すれば、もっと給料がもらえるのではないか」と考え始める。
しかし、50年にわたる教育事業の中で数多くのキャリア相談を受けてきた経験から、一つお伝えしたいことがあります。
それは、「給料が割に合わない」と感じる時、多くの人が"見落としている"ことがあるということです。
この記事では、「割に合わない」という感覚の正体を掘り下げ、その背後にある本当の問題を民間企業の経験もある50年以上の教育事業を運営する代表が解説します。
- 教員の給料の現実 - データで見る
- 教員の平均年収
- 「給特法」という制度の問題
- データから見える「割に合わない」の根拠
- 見落としポイント①: 「他者との比較」という罠
- 民間の友人との比較が生む不満
- 比較の罠から抜け出す
- 見落としポイント②: 本当の不満は「給料」ではないかもしれない
- 給料への不満の裏にある本当の原因
- 「割に合わない」の正体を掘り下げる
- 見落としポイント③: 「何に重きを置くか」という問い
- やりがい vs お金 - 二項対立ではない
- 「何に重きを置くか」を明確にする
- 教員の「隠れた価値」を再確認する
- 1. 公務員としての安定
- 2. AIに代替されにくい仕事
- 3. 「人の成長に関わる」という特権
- 困ったら第三者の信頼できる人・プロに相談する
- まとめ - 後悔しない選択をするために
- 一人で悩まないでほしい
- 教員向けキャリアコーチング 「キョウキャリ」とは?
教員の給料の現実 - データで見る

まず、感情を抜きにして、教員の給料の現実をデータで確認してみましょう。
教員の平均年収
文部科学省の調査によると、公立学校教員の平均年収は以下の通りです:
- 小学校教員: 約650万円
- 中学校教員: 約670万円
- 高校教員: 約700万円
日本全体の平均年収(約450万円)と比較すると、教員の年収は平均より200万円以上高いことがわかります。
しかし、この平均年収には落とし穴があります。教員の給与は年功序列で上がっていくため、勤続年数の長いベテラン教員が平均を引き上げているのです。
実際、20代の教員は年収300万円台ということも珍しくありません。30代でも400万円台という方が多いでしょう。一方で、同年代で民間企業に就職した友人が500万円、600万円と稼いでいるのを見ると、「自分の給料は安い」と感じるのは無理もありません。
「給特法」という制度の問題
さらに、教員の労働環境には構造的な問題があります。それが「給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)」です。
この法律により、公立学校の教員には残業代が支払われません。その代わり、月給の4%が「教職調整額」として一律に支給されます。
しかし、実態はどうでしょうか。文部科学省の調査では、中学校教員の約6割が月80時間以上の残業をしているというデータがあります。月80時間の残業で4%の手当では、時給換算すると驚くほど低い金額になります。
この制度は「定額働かせ放題」と批判され、教員の「割に合わない」感覚の大きな原因になっています。
データから見える「割に合わない」の根拠
ここまでのデータを見ると、「割に合わない」と感じる根拠は確かにあります:
1. 若手のうちは、同年代の民間と比べて低い可能性がある
2. 労働時間に対して、残業代が適正に支払われていない
3. 責任の重さに対して、報酬が見合わないと感じる
しかし、ここで一つ問いかけたいのです。
「割に合わない」と感じる時、本当に"給料"だけが問題なのでしょうか?
見落としポイント①: 「他者との比較」という罠

民間の友人との比較が生む不満
「割に合わない」と感じる教員の多くに共通しているのが、民間企業で働く友人や知人との比較です。
実際に、私たちがキャリア相談を受けた中で、こんなケースがありました。
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【エピソード】民間の友人との比較をやめたBさんの話
公立中学校で5年目を迎えたBさん(30代前半・男性)は、「給料が割に合わない」という理由で転職を検討していました。
きっかけは、大学時代の友人との飲み会でした。IT企業に勤める友人は、年収700万円。Bさんの年収は400万円台。話を聞けば聞くほど、「自分は損をしている」という思いが強くなりました。
「同じ年齢で、同じくらい働いているのに、なぜこんなに差があるのか」
Bさんは、転職サイトに登録し、民間企業の求人を探し始めました。しかし、実際に転職活動を始めてみると、現実は想像と違っていました。
まず、教員の経験がそのまま評価される求人は少ないこと。年収400万円台を維持できる求人を探すのも、簡単ではありませんでした。そして、民間企業で働く別の友人に話を聞いたところ、意外な事実がわかりました。
「うちの会社、残業代は出るけど、結局サービス残業も多いよ。休日出勤もあるし、年収が高くても時給で考えたらそんなに変わらないかも」
さらに、友人が続けました。
「それに、リストラのリスクもあるし、業績が悪ければボーナスカット。公務員の安定って、正直羨ましいよ」
Bさんは、その言葉で気づきました。
「自分は、隣の芝の"青い部分"だけを見ていたのかもしれない」
その後、Bさんは転職活動を一旦ストップし、「他者との比較をやめる」ことを意識するようになりました。すると、不思議なことに、「割に合わない」という感覚が薄れていったのです。
比較の罠から抜け出す
Bさんのケースが教えてくれるのは、「割に合わない」という感覚の多くは、他者との比較から生まれているということです。
民間企業で高年収を得ている人は、確かにいます。しかし、その裏側には:
- サービス残業や休日出勤が当たり前の職場
- リストラや倒産のリスクを常に抱えているプレッシャー
- 成果を出し続けなければならない評価の目
こうした「見えない部分」があることを、忘れてはなりません。
また、民間企業の「平均年収」には、一部の高年収者が平均を引き上げているという事実もあります。実際には、教員と同等かそれ以下の年収で働いている人も、決して少なくないのです。
「割に合わない」と感じた時、まず自問してみてください。
「自分は、誰と比較しているのか?」
「その比較対象の"見えない部分"も、ちゃんと見えているか?」
見落としポイント②: 本当の不満は「給料」ではないかもしれない

給料への不満の裏にある本当の原因
給料への不満の裏にある本当の原因
私たちがキャリアコーチングを行う中で、興味深い発見がありました。
それは、「給料が割に合わない」と訴える教員の多くが、深掘りしていくと、給料とは別の不満を抱えているということです。
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【エピソード】本当の不満は「雑務」だったCさんの話
公立小学校で8年目のCさん(30代・女性)は、「給料が割に合わない」という悩みを抱えていました。
最初は、「もっと給料が高ければ、こんなに辛くない」と話していたCさん。しかし、対話を重ねる中で、本当の不満が見えてきました。
「確かに給料は不満ですが、それ以上に、教えること以外の雑務が多すぎるんです」
授業準備、テストの採点、成績処理、保護者対応、学校行事の準備、会議、書類作成――。教壇に立って生徒に教える時間よりも、それ以外の業務に費やす時間の方が圧倒的に多い。
「私は、生徒に教えることが好きで教員になったんです。でも今は、それ以外のことに追われて、好きなことに時間を使えていない。それが辛いんです」
Cさんの本当の不満は、「給料」ではなく「時間の使い方」でした。
給料が倍になったとしても、この状況が変わらなければ、Cさんは満足できなかったでしょう。
「割に合わない」の正体を掘り下げる
Cさんのケースは、「給料が割に合わない」という言葉の裏に、別の不満が隠れている可能性を示しています。
よくある「隠れた不満」の例:
- 時間: 「好きなことに時間を使えていない」
- 裁量: 「自分のやりたい授業ができない」
- 人間関係: 「職場の人間関係がストレス」
- 評価: 「頑張っても認められていない気がする」
- 成長: 「このままでは成長できない」
これらの不満が、「給料」という形で表出していることがあるのです。
なぜなら、給料はわかりやすい指標だからです。「給料が割に合わない」と言えば、誰もが「そうだよね」と共感してくれる。しかし、「好きなことに時間を使えていない」という不満は、言語化しにくく、他人にも伝わりにくい。
だから、複雑な不満が「給料」という言葉に集約されてしまうのです。
「割に合わない」と感じた時、もう一歩深く考えてみてください。
「本当に給料だけが問題なのか?」
「もし給料が倍になったら、この仕事を続けたいか?」
この問いに「No」と答えるなら、本当の問題は給料ではない可能性があります。
見落としポイント③: 「何に重きを置くか」という問い

やりがい vs お金 - 二項対立ではない
50年にわたる教育事業の中で、様々な教員のキャリアを見てきました。
その中で、一つ確信を持って言えることがあります。
「やりがい」と「お金」は、単純な二項対立ではないということです。
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【エピソード】自分の「重き」を見つけた先生たち
「給料が割に合わない」と感じる教員には、大きく分けて2つのタイプがいます。
タイプ1: お金に重きを置く人
このタイプの人は、正直に言えば、自分の満足する給与がもらえる職場に転職した方がいいかもしれません。
教員の給与体系は年功序列であり、どれだけ頑張っても大幅に給与が上がることはありません。副業も基本的には禁止されています。
「お金」が人生において最も重要な価値だと考えるなら、教員という職業は最適解ではない可能性があります。そして、それは悪いことではありません。人それぞれ価値観が違うのは当然のことです。
タイプ2: 教えることに重きを置く人
一方で、「教えることが好き」「生徒の成長を見るのが喜び」という人は、話が変わってきます。
このタイプの人が「給料が割に合わない」と感じている場合、働き方を変えることで解決できる可能性があります。
例えば:
- 非常勤講師になる: フルタイムではなく、非常勤として「教える」部分に集中する
- 別の収入源を持つ: 非常勤で教えながら、他の仕事や副業で収入を補う
- 私立学校への転職: 公立とは違う待遇・環境の私立を検討する
- 塾講師や家庭教師: 「教える」ことに特化した仕事にシフトする
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「何に重きを置くか」を明確にする
結局のところ、「給料が割に合わない」という問題の解決策は、自分が何に重きを置くかによって変わります。
重きを置く価値 | 解決策の方向性 |
|---|---|
お金・収入 | 民間企業への転職を検討 |
教えること・やりがい | 働き方の変更を検討 |
安定・ワークライフバランス | 現状維持 or 業務効率化 |
成長・キャリアアップ | スキルアップや異動を検討 |
「給料が割に合わない」と感じた時、最も大切な問いは、
「自分は、何に重きを置いているのか?」
この問いに答えることが、後悔しないキャリア選択への第一歩です。
教員の「隠れた価値」を再確認する

ここまで、「給料が割に合わない」と感じる時に見落としがちなポイントをお伝えしてきました。
最後に、教員という職業が持つ「隠れた価値」についても触れておきます。
1. 公務員としての安定
教員(公立学校)は公務員であり、以下の安定が保証されています:
- 年収は基本的に上がり続ける: 年功序列で、毎年確実に給与が上がる
- 解雇されることがほぼない: よほどのことがない限り、職を失う心配がない
- 福利厚生が充実: 健康保険、年金、休暇制度など
- 社会的信用が高い: ローンや賃貸契約など
これらの価値は、民間企業に転職して初めて「どれだけありがたかったか」に気づく人が多いのです。
2. AIに代替されにくい仕事
生成AIの発展により、多くの職種が変化の波にさらされています。しかし、教育という仕事は、AIに完全に代替されることはありません。
生徒の目を見て対話すること、悩みに寄り添うこと、成長を見守ること――これらは、AIには決してできないことです。10年後、20年後も「必要とされる仕事」に就いていることの価値は、計り知れません。
3. 「人の成長に関わる」という特権
多くの仕事は、自分の成果が「誰かの役に立っている」という実感を得にくいものです。しかし、教員は違います。
生徒の成長を間近で見ることができる。感謝の言葉を直接もらえる。
これは、お金では買えない、教員ならではの特権です。
困ったら第三者の信頼できる人・プロに相談する
一人で悩んでいると、思考が堂々巡りになりがちです。信頼できる同僚、先輩教員、家族、友人など、話を聞いてくれる人に相談してみましょう。
特に、実際に教員から民間企業に転職した人の話を聞くことができれば、理想的です。転職のメリットだけでなく、デメリットや後悔した点についても、リアルな話を聞くことができます。
また、キャリアコーチなど、第三者の専門家に相談することも一つの選択肢です。客観的な視点からのアドバイスが、新しい気づきをもたらしてくれるかもしれません。
まとめ - 後悔しない選択をするために

教員の給料が割に合わない」と感じた時、ぜひ以下の3つを思い出してください。
見落としポイント①: 他者との比較の罠
- 「割に合わない」は、多くの場合、他者との比較から生まれる
- 比較対象の「見えない部分」も見ているか?
見落としポイント②: 本当の不満は別にあるかも
- 給料への不満の裏に、「時間」「裁量」「人間関係」などの不満が隠れていないか?
- もし給料が倍になったら、この仕事を続けたいか?
見落としポイント③: 何に重きを置くか
- お金に重きを置くなら、転職も選択肢
- 教えることに重きを置くなら、働き方を変える選択肢もある
- 自分が何に重きを置いているか、明確にする
「給料が割に合わない」という感覚は、キャリアを見つめ直す良いきっかけです。
しかし、その感覚に振り回されて、勢いで決断すると、後悔することがあります。
まずは立ち止まって、「自分は何に重きを置いているのか」を考えてみてください。それが、後悔しないキャリア選択への第一歩です。
一人で悩まないでほしい
「自分一人では判断できない」「客観的な視点からアドバイスが欲しい」――そう感じている方へ。
キャリアについて悩むことは、決して恥ずかしいことではありません。むしろ、自分の人生に真剣に向き合っている証拠です。
キョウキャリのようなキャリアコーチングのような専門家の力を借りることで、自分では気づかなかった強みや、新しい選択肢が見えてくるかもしれません。
教員向けキャリアコーチング 「キョウキャリ」とは?

これらのステップは一人でも実践できますが、第三者との対話を通じて、より深く自己理解を進める方法もあります。
例えば、キョウキャリのような教員向けのコーチングセッションでは、プロのコーチとの対話を通じて、自分では気づかなかった教員である自身強みや可能性を引き出すことができます。一人で取り組むのが難しいと感じたら、専門家のサポートを受けることも一つの選択肢です。
「自分の強みがわからない」「教員を続けたいけれど、将来が不安」
そんな先生方のために生まれたのが、1ヶ月集中型キャリアコーチング「キョウキャリ」です。
キョウキャリの3つの特徴:
1. AI × 50年の教育知見による科学的アプローチ
教育現場での半世紀にわたる経験と最新のAI技術を掛け合わせ、自分では気づきにくい「先生としての真の強み」を客観的に可視化します。
2. 1ヶ月で「方向性」が明確になる
ダラダラと悩むのではなく、1ヶ月という短期間で集中的に自己分析とキャリア設計を行います。「モヤモヤ」を「確信」に変え、具体的なアクションプランまで落とし込みます。
3. 先生が挑戦しやすい価格設定
一般的なキャリアコーチングが高額(20万円〜)で諦めてしまう先生が多いため、キョウキャリは98,000円(税込)という挑戦しやすい価格を実現しました。
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